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NAND型フラッシュメモリとは?特徴やNOR型フラッシュメモリとの違いについても解説

投稿日:2022/6/16

更新日:2022/6/16

NANDフラッシュメモリ

「NAND型フラッシュメモリ」は、SDカードやSSDといったデータストレージで広く使われているフラッシュメモリの一種です。

フラッシュメモリにはNAND型のほかに「NOR型」もありますが、市場ではNAND型のほうが主流となっています。NAND型とNOR型の違いは、どこにあるのでしょうか。また、なぜNAND型のほうが主流となったのでしょうか。

今回は、NAND型フラッシュメモリの基本情報を中心に、その特徴やNOR型フラッシュメモリとの違いについても解説します。

NAND型フラッシュメモリとは

NAND型フラッシュメモリとは、電源がなくても記憶を保持できる不揮発性メモリの一種です。

従来のフラッシュメモリと比べて書き込みや消去が高速で、しかも回路規模が小さくコンパクトかつ安価に大容量化できるといった特徴から、データストレージ市場で広く普及しています。

このほかにも、動作音がなく消費電力も低いこと、振動や衝撃に強いことなどの特徴も、さまざまなデバイスに搭載される理由のひとつになっています。

一方で、NAND型は1ビット単位での読み取りはできず、ランダムアクセス(直接アクセス)の読み取りが低速になるという側面もあります。

NAND型フラッシュメモリの主な用途・分野

NAND型フラッシュメモリは、USBメモリやSDカード、SSDといったデータストレージとして広く活用されています。身近な製品でいえば、PCやスマートフォン、デジタルカメラなどの記憶媒体、車載用途では、ナビゲーションの地図データ、ドライブレコーダーの記憶媒体にNAND型フラッシュメモリが使われています。

また、容量あたりの単価が安く大容量のデータ保存に向いていることから、半導体デバイスのひとつとしても注目を集めています。クラウドストレージやIoT領域の機器などに搭載される記憶媒体にもNAND型フラッシュメモリのニーズは高まっており、今後も市場での拡大が期待されています。

更に、大変革を迎えている自動車業界においてのADAS(先進自動運転システム)、自動運転、コネクテッドカーなどの新しいアプリケーション、産業分野でのAIの普及、センサーデバイスの増加、5Gへの対応などにより今までNANDを使用していない新たな市場分野での成長が期待されています。

NAND型フラッシュメモリの特徴

NAND型フラッシュメモリの特徴をまとめると、次のような点が挙げられます。

・大容量のデータストレージに適している
・データの書き込み速度が速い
・容量あたりの単価が安い

NAND型フラッシュメモリは、回路構造から記憶素子の「メモリセル」を多く配置することが可能で、高集積化して容量を増やしやすいという特徴があります。このため、大容量のデータストレージに適しています。

また、回路規模が小さくコンパクトであることから、メモリセルの配線も短くなり、データ転送処理が速いことも特徴です。とくに、データの書き込み速度はNOR型フラッシュメモリよりも高速にできます。

容量あたりの単価が安いのは、2000年代前半の急速な普及が挙げられます。NAND型の市場規模が飛躍的に拡大したことでビットあたりの単価が下落し、さらに普及を後押しすることにつながりました。

なお、フラッシュメモリは書き換え回数に上限があります。NAND型フラッシュメモリの場合、記録方式にもよりますがSLC方式だと約10万回といわれます。また、記録内容の保持期間も通常であれば10年程度とされ、NOR型よりも劣化が進みやすいというデメリットもあります。

NAND型とNOR型の違い

フラッシュメモリには、市場で大きなシェアを占めるNAND型だけでなく、NOR型のフラッシュメモリもあります。

NOR型フラッシュメモリも不揮発性メモリの一種で、NAND型より先に生まれたデータストレージです。ランダムアクセスの読み出し速度はNAND型よりも優れていますが、書き込み速度は遅く大容量化に適さないという特徴があります。

NAND型とNOR型の違いのひとつが、配線の接続方式です。NAND型もNOR型も、基本的なメモリセルの構造は同じですが、NAND型はメモリセルを直列に、NOR型は並列に配置しています。

データへのアクセス方式も、NAND型とNOR型では異なります。メモリセルを直列につないでいるNAND型は、データのある場所を求めて端から順にアクセスしますが、並列に配置したNOR型はデータのある場所にピンポイントで直接アクセスができます。NOR型のほうがランダムアクセスの読み取りが高速にできるのは、このためです。

その一方で、NOR型のメモリセルにはソース線を配線する必要があります。これに対してNAND型は、ソース線を複数のメモリセルで共有でき、空いた領域で多くのメモリセルを配置できるため、データの書き込みが速く、高集積化・大容量化にも向いています。

NOR型フラッシュメモリの主な用途・分野

ランダムアクセスの読み取りが高速で小容量に適したNOR型フラッシュメモリは、主に組み込み機器における制御プログラムの記録や実行をするための記憶装置として使われることが多いです。具体的にはルータやプリンタ、携帯情報端末、車載機器などでの活用が目立ち、NAND型フラッシュメモリとはすみ分けができています。

ただ、近年ではNOR型フラッシュメモリが活用される機器にも大容量の求められるケースが増えており、NAND型フラッシュメモリへの置き換えが進んでいる製品分野もあります。

NAND型フラッシュメモリの市場規模



NAND型フラッシュメモリの市場規模は年々増加の一途をたどっています。台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、2021年第4四半期におけるNAND型フラッシュメモリ業界全体の売上高は、約185億米ドルにもおよびます。

とりわけ近年は、3D NAND(3次元NAND)という次世代メモリの伸びが顕著であり、2030年の世界市場規模は792億米ドル、年平均の成長率は20.4%になると予測されています。3D NANDとは、メモリセルを垂直に積層してつくるNAND型フラッシュメモリで、従来品よりも大容量でビットあたりのコストを削減できることから、今後のフラッシュメモリ市場をけん引する存在として注目を集める技術です。

データストレージの分野は、AIやIoT技術の進化に加え5Gの世界的な普及もあり、ますます活性化することが予測されます。こうしたなかで、大容量で高速な情報処理を実現するNAND型フラッシュメモリの需要もさらに増え、モバイルからデータセンター、自動車、産業市場など、あらゆる分野で活用の幅が広がることが期待されているのです。

NAND型フラッシュメモリのメーカー別シェア

NAND型フラッシュメモリは、大手メーカーのシェアが大きいことも特徴のひとつです。

2021年のメーカー別シェアをみると、1位は韓国のサムスン電子でシェア率は30.1%、2位は日本の東芝から分社化したキオクシアで20.0%です。この2つの企業で半分のシェアを占めます。以下、ウエスタンデジタル(アメリカ)、SKハイニックス(韓国)、マイクロン・テクノロジ(アメリカ)と続き、上位5社で世界全体の8割以上を占めます。

ただ、各社のシェアは年々減少傾向にあるようです。その背景には、中国企業の急成長が挙げられます。現在、中国のフラッシュメモリ技術は世界的にみると数年遅れているといわれます。SSD向けの128層3D NANDを例に挙げると、韓国のSKハイニックスが2019年に量産化を始めたのに対して、中国ではYMTC(紫光集団グループ)というメーカーが2021年に量産化をスタートするなど2年ほどの遅れがあります。しかし、YMTCではわずか3年で32層から64層、さらには128層へと飛躍的な進歩を果たし、短期間で世界に通用する技術を身につけています。

NAND型フラッシュメモリ市場は現在、韓国や日本、アメリカのメーカーが主流ですが、いずれ中国のメーカーが台頭してくることも予測されるでしょう。

データ参照:ディールラボ
https://deallab.info/flashmemory/

NAND型フラッシュメモリ製品のおすすめメーカー

佐鳥SPテクノロジで取り扱いのあるNAND型フラッシュメモリ製品のメーカーをピックアップして紹介します。



ウエスタンデジタル(Western Digital)



ハードディスクドライブとフラッシュメモリ製品を提供するアメリカのメーカーです。NAND型フラッシュメモリを自社で生産し、世界3位のシェアを誇っています。

産業用・車載用のSDカード「Full SDカード」シリーズをはじめ、SSD、eMMC、UFSなど高耐久性・長期供給の商品を展開しています。

ハイクストレージ(HIKSTORAGE)



ハイクストレージは、中国の大手監視カメラメーカー「HIKVISION」の子会社として2017年に設立された中国のストレージメーカーです。産業用途向けのSSDを主力製品にSDカードやmicroSDカード、eMMC等各種ストレージ製品を提供しています。

コストパフォーマンスの良さ・安定した供給性・柔軟なカスタマイズ性に強みを持つ会社であり、佐鳥SPテクノロジでは正規販売代理店契約を結び、法人様向け製品を中心に販売しています。

ネクストレージ(Nextorage)



ソニーでメモリ・ストレージの開発に携わっていたエンジニアが集結し、2019年に設立されたメーカーです。

SATA SSDやSDカードをメインに扱っており、ソニーで蓄積された技術を産業用向けメモリに詰め込んだ高品質な製品を提供しています。

ハギワラソリューションズ



産業機器向けフラッシュストレージの専門メーカーです。

産業用や工業用、組込み用途といった多様な分野に活用できるSSD、CFast、CF、SDカードなどを提供しており、長期安定稼働ができる耐久性や高速転送、大容量のフラッシュメモリを得意としています。

まとめ

NAND型フラッシュメモリは、大容量でデータの書き込み速度が速く、単価も安いといった特徴から、PCやスマートフォンをはじめ多様なデバイスのデータストレージとして広く普及しました。その市場規模はAIやIoT技術の進化にともない、家電製品や車載機器など今後もますます大きくなると予測されています。

佐鳥SPテクノロジでは、NAND型フラッシュメモリを搭載した国内外のメーカーのストレージ製品を取り扱っており、ニーズに適した商品のご提案が可能です。NAND型フラッシュメモリ製品をお求めの方は、当社までお気軽にご相談ください。