Western Digital OpenFlex Data24
-コンポーザブル・インフラストラクチャ時代における
NVMe-oFストレージの性能と戦略的活用
投稿日:2025/10/27
更新日:2025/10/27
佐鳥SPテクノロジ社で取り扱うデータセンター向けプラットフォーム製品の中から、Western Digital製 OpenFlex Data24をご紹介いたします。

目次
- データセンターの課題とOpenFlex Data24の役割
- 新時代のデータセンターアーキテクチャ:CDIとNVMe-oF
- CDI(コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ)とは市場規模の拡大
NVMe-oF:CDIを実現する高速技術 - EBOF(Ethernet Bunch of Flash)アーキテクチャ
ハードウェア仕様とパフォーマンス
ハードウェア設計の概要
圧倒的なパフォーマンス
技術仕様一覧表
活用事例と戦略的価値
最適なワークロード
導入事例:TelefónicaのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)変革
課題
解決策
結果
データセンターの未来を築く構成要素
会社紹介:Western Digital社とは
購入までの流れ
データセンターの課題とOpenFlex Data24の役割
現代のデータセンターでは、サーバー内にCPUやストレージなどのリソースが固定化されているため、リソースの過不足や非効率な投資が発生しやすいという課題があります。例えば、ストレージ容量だけを増やしたい場合でも、サーバーごと追加購入する必要がありました。
Western DigitalのOpenFlex Data24は、この問題を解決するために開発されたNVMe-oF(NVMe-over-Fabrics)ストレージプラットフォームです。その核心は、高性能なNVMe SSDをサーバーから物理的に「分離(Disaggregate)」し、イーサネット経由で複数のサーバーから共有できる高速なストレージプールを構築することにあります。これにより、サーバーに内蔵されたSSDと同等の低遅延性能を保ちながら、コンピューティングとストレージをそれぞれ独立して、必要な分だけ拡張できるようになります。結果として、データセンター全体の効率性、柔軟性、そしてコスト効率が劇的に向上します。
新時代のデータセンターアーキテクチャ:CDIとNVMe-oF
OpenFlex Data24は、データセンターの新しい設計思想である「コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ(CDI)」を実現するための重要な構成要素です。
CDI(コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ)とは
CDIは、コンピューティング、ストレージ、ネットワークといったハードウェアリソースを物理的な制約から解放し、それぞれを独立したリソースプールとして扱います。そして、アプリケーションの要求に応じて、ソフトウェア(API)を通じてこれらのリソースを動的に組み合わせ、「構成(Compose)」することで、最適なサーバー環境を即座に構築するアーキテクチャです。これにより、リソースの利用率が最大化され、無駄な投資を削減できます。
NVMe-oF:CDIを実現する高速技術
CDIの概念を実現可能にしたのが、NVMe-oF(NVMe-over-Fabrics)技術です。これは、元々サーバー内部の高速バス(PCIe)向けに設計されたNVMeプロトコルを、イーサネットなどのネットワーク(Fabric)上で利用できるように拡張したものです。これにより、リモートにあるストレージに対しても、まるでローカルのSSDのように極めて高速かつ低遅延でアクセスできます。OpenFlex Data24は、この技術を活用することで、ストレージの分離と共有を高性能で実現しています。
o接続プロトコル: 最高のパフォーマンスを求める環境向けのRoCEv2と、既存のネットワーク環境に容易に導入できるTCP/IPの両方をサポートしており、用途に応じて選択可能です。
EBOF(Ethernet Bunch of Flash)アーキテクチャ
OpenFlex Data24は、従来のSAS接続のJBOF(Just a Bunch of Flash)とは異なり、イーサネットに直接接続するEBOF(Ethernet Bunch of Flash)です。これにより、専用のHBAカードやケーブルが不要となり、汎用的なイーサネットインフラを活用して、シンプルかつスケーラブルなストレージ環境を構築できます。
※EBOFについては「JBOD/JBOF関連Q&A」参照。
ハードウェア仕様とパフォーマンス
ハードウェア設計の概要
OpenFlex Data24は、パフォーマンス、密度、高可用性を追求して設計されています。
•シャーシ: 標準的な2Uラックマウントサイズの筐体に、最大24台のホットスワップ対応U.2 NVMe SSDを搭載可能です。
•高可用性: 電源ユニット(PSU)や冷却ファンはすべて冗長化され、ホットスワップに対応しているため、運用を停止することなく交換作業が可能です。
•接続性: 2つのI/Oモジュール(IOM)がアクティブ-アクティブ構成で動作し、完全に冗長化されたデータパスを確保します。各IOMにはWestern Digital独自の「RapidFlex™」NVMe-oFコントローラが搭載され、最大12ポートの100GbE接続を提供します。これにより、スイッチを介さずに最大6台のサーバーと冗長接続が可能です。
•モデルラインナップ:
●3200シリーズ: PCIe Gen3に対応した初期モデル。
●4000シリーズ: データパス全体がPCIe Gen4に対応し、性能が大幅に向上。高可用性を重視したデュアルポートSSD対応の4200モデルと、最大限のパフォーマンスを追求したシングルポートSSD対応の4100モデルがあります。
圧倒的なパフォーマンス
OpenFlex Data24は、ネットワークがボトルネックにならない「オーバーサブスクリプションなし」の設計思想に基づいています。これにより、搭載された24台のSSDの性能を最大限に引き出すことが可能です。
詳細につきましては、以下技術仕様一覧表のパフォーマンス欄をご確認ください
技術仕様一覧表
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機能カテゴリ |
仕様 |
詳細 / モデル |
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シャーシ |
フォームファクタ |
2U, 24ベイ |
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ドライブサポート |
24x U.2 NVMe SSD |
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容量 |
最大物理容量 |
最大368 TB (Gen3) / 最大1474 TB (Gen4) |
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パフォーマンス |
最大シーケンシャルリード |
最大132 GB/s |
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最大シーケンシャルライト |
最大92 GB/s |
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最大ランダムリードIOPS |
最大2700万 IOPS (4K) |
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最大ランダムライトIOPS |
最大620万 IOPS (4K) |
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接続性 |
ネットワークポート |
最大12x 100GbE (IOMあたり6ポート) |
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トランスポートプロトコル |
RoCEv2, TCP (4000シリーズ) |
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高可用性 |
I/Oモジュール |
デュアル、ホットスワップ対応 |
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電源ユニット |
2x 2000W Platinum、ホットスワップ対応 |
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ファン |
デュアルローター、ホットスワップ対応、N+2冗長 |
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管理 |
API |
RESTful API (Open Composable API) |
活用事例と戦略的価値
最適なワークロード
その圧倒的な性能と柔軟性から、OpenFlex Data24は以下のようなデータ集約型のワークロードに最適です。
•AIと機械学習: 大規模データセットの高速な読み込みと処理
•リアルタイム分析とデータベース: 低遅延が求められる高速なデータ検索とトランザクション処理
•ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC): 科学技術計算やシミュレーションのための高速なデータ共有
•ソフトウェア定義ストレージ(SDS): スケールアウト型ファイルシステムやオブジェクトストレージの高性能な基盤
•クラウド基盤と仮想化: 大規模な仮想マシン(VM)やコンテナ環境を支える共有ストレージ
導入事例:TelefónicaのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)変革
世界的な通信大手Telefónicaは、ビデオオンデマンド(VoD)配信の効率化という課題をOpenFlex Data24で解決しました。
•課題: 従来のCDNでは、配信サーバー(コンピューティング)とストレージが一体化していました。しかし、VoD配信では、必要なコンピューティング能力は「視聴者数」に、必要なストレージ容量は「コンテンツ数」に依存するため、両者の拡張ニーズが一致しません。これにより、ストレージが余ったり、逆にサーバーの性能が不足したりといった非効率が発生し、コストを圧迫していました。
•解決策: TelefónicaはOpenFlex Data24を導入し、ストレージを配信サーバーから完全に分離。高性能な共有ストレージプールを構築しました。
•結果:
1.独立した拡張: コンピューティングとストレージを、需要に応じて個別に拡張できるようになり、俊敏性が向上しました。
2.TCO(総所有コスト)削減: 過剰な投資が不要になり、サーバーもシンプルな構成で済むため、設備投資と運用コストを大幅に削減できました。
3.高性能の維持: ユーザーの視聴体験を損なうことなく、ローカルストレージと同等のパフォーマンスを維持しました。
この事例は、OpenFlex Data24が単なる高速ストレージではなく、データセンターの経済性とアーキテクチャを根本から改善するソリューションであることを証明しています。
データセンターの未来を築く構成要素
Western Digital OpenFlex Data24は、2つの大きな価値を提供します。一つは、旧来のSAS接続JBOFを置き換える、圧倒的に高性能な次世代ストレージとしての価値です。
しかし、より重要なのは、データセンターの未来像であるCDI(コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ)を実現するための「基本的な構成要素」としての価値です。コンピューティングとストレージを分離することで、企業はより効率的で、拡張性が高く、変化に強いインフラを構築できます。OpenFlex Data24は、次世代アプリケーションが求める予測不能な要求に応えるための、戦略的な一手となるでしょう。
以下動画にて製品のご紹介をさせていただきます。
会社紹介:Western Digital社とは
Western Digital Corporationは1970年設立されたストレージソリューション企業です。
現在は、半導体メモリ事業を分離・独立させ、HDD(ハードディスクドライブ)事業に専念し、AI(人工知能)時代のデータストレージを強化する方針を打ち出しています。
佐鳥SPテクノロジは正規販売代理店契約を締結し、法人様向け製品の販売を行っております。
購入までの流れ
当社では、組み込みストレージ製品の導入検討から購入までを技術サポート含め一貫して提供しています。在庫や価格情報などを詳しく知りたい場合は、ぜひお問い合わせください。

