HDD業界の動向 低容量HDDはどうなる?
投稿日:2025/9/17
更新日:2025/9/17
佐鳥SPテクノロジ社ではHDD製品を取り扱っていますが、今回はHDD業界の動向と、低容量HDDの状況について述べてみたいと思います。
HDD業界の状況について
HDD業界は、SSDの台頭やデータセンター向け需要の変化など、いくつかの要因によって変動しています。市場規模は拡大傾向にありますが、一部の用途ではSSDに置き換わっています。
市場規模の拡大
HDD市場は、データセンター向けの大容量ストレージ需要や、ニアラインストレージの需要増により、引き続き拡大傾向にあります。データセンター向けのニアラインHDDは、大容量データの保存需要を背景に、今後も成長が期待されています。
Western Digital製データセンター用HDDでは現在32TBまでの大容量HDDが用意されております。
(参考)
https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/data-center-drives/ultrastar-dc-hc690-hdd?sku=WSH723200AL4201
SSDとの競争
SSDの性能向上と価格低下により、PCやモバイル機器などではHDDからSSDへの移行が進み、市場規模は縮小傾向にあります。
HDDは、SSDに比べて大容量・低コストという特性を活かし、データセンターのコールドストレージやアーカイブストレージなどでSSDと共存していくと見られています。
データセンター向け需要
クラウドサービスやビッグデータ解析の普及により、データセンターでの大容量ストレージ需要が拡大しており、HDDの需要も高まっています。
データセンター向けでは、コスト効率の高いニアラインHDDの需要が伸びています。特に、クラウドサービスプロバイダーやハイパースケールデータセンターでは、データの階層化が進み、アクセス頻度の低いデータをニアラインHDDに保存する傾向があります。
HDDの技術革新
HDDの容量拡大に向けて、さらに技術革新は進んでいます。
HAMR (熱アシスト磁気記録)等の先端記録技術の開発により、HDDの高記録密度化が進んでいます。
記録密度を上げるためにビットを小さくすると、熱による自然な磁気の揺らぎ(熱揺らぎ)で磁化が反転しやすくなります。つまり、データが消えやすくなるという問題があります。
高保磁力メディアなら、熱揺らぎに強く、データを長期間保持できます。よって、記録密度を上げてもデータの安定性を保てます。
高保磁力の材料は、強い磁界がなければ磁化できません。従来のHDDヘッドでは、その強さの磁界を出すことは物理的に難しいため、高保磁力メディアには書き込めなくなります。
そのため、書き込む際に一時的にメディアを加熱して、磁化しやすくする方法としてHAMR技術が開発されてきました。
HAMR技術では、書き込みヘッドに搭載されたレーザーが、データの記録時に書き込み対象のメディアを瞬間的に加熱します。
これにより、記録媒体の保磁力が一時的に低下し、より強い磁界でなければ書き込めない高保磁力なメディアにも、高い記録密度でデータを書き込むことができます。
レーザーによる加熱が停止すると、メディアの保磁力はすぐに回復し、記録されたビットの状態が安定して保持されるため、データの安定した記録と保持が可能になります。
Western Digital社では、2026年には44TB、2030年ごろには80TB~100TBのHDDの製造を目指しています。
低容量HDDの現状
各メーカーの低容量HDD
現在3社のHDDメーカーがありますが、用途別にそれぞれ低容量(1~2TB)のHDDも用意されております。
メーカー |
PC向け |
監視カメラ向け |
NAS向け |
エンタープライズ向け |
Western Digital |
WD Blue |
WD Purple |
WD Red |
Ultrastar |
Seagate |
BarraCuda |
SkyHawk |
IronWolf |
Exos |
東芝 |
P300 |
S300 |
N300 |
MG |
低容量HDDはどうなる?
データ量の爆発的な増加に伴い、データセンター向けの大容量HDDの需要は今後も増加していく傾向にあります。
一方で、低容量のHDDは、ファイルの容量が小さいデータの保存といった特定の用途においては今後も一定の需要が見込まれます。しかし、全体的にはより大容量のHDDへの移行が進む傾向は変わらないでしょう。
低容量HDDは費用対効果も高く、特定のニーズに対して魅力的な選択肢であり続けますが、用途に応じてHDDとSSDを適切に使い分けることが今後ますます重要となってきます。
まとめ
HDD業界は、SSDの普及により市場規模が縮小傾向にあるものの、データセンター向けの大容量ストレージ需要を背景に、ニアラインHDDを中心に成長が見込まれています。
技術革新により、HDDの高記録密度化が進み、データセンターの需要に応じた製品が提供される見込みです。
HDDは、SSDと共存しながら、大容量・低コストという特性を活かして、新たな市場を開拓していくと見られています。
HDDのご検討に関しましては、ぜひ弊社までご相談をお願い致します。
会社紹介:Western Digital社とは
Western Digital Corporationは1970年設立されたストレージソリューション企業です。
現在は、半導体メモリ事業を分離・独立させ、HDD(ハードディスクドライブ)事業に専念し、AI(人工知能)時代のデータストレージを強化する方針を打ち出しています。
佐鳥SPテクノロジは正規販売代理店契約を締結し、法人様向け製品の販売を行っております。
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